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FASHION / CRUISE / 2025.09.29
PARCO CRUISE

笠松将×Yohji Yamamoto|服と生き方。そこに宿る人生の美学を求めて

笠松将×Yohji Yamamoto|服と生き方。そこに宿る人生の美学を求めて
笠松将×Yohji Yamamoto|服と生き方。そこに宿る人生の美学を求めて

強さと脆さを併せ持つ人物像を巧みに体現し、鮮烈な存在感を放つ俳優・笠松将さん。国内外で活躍する彼が自身の故郷でもある愛知の名古屋PARCOをクルーズ。Yohji Yamamotoの直営店を訪れ、黒・白を基調とした開放的な空間で彼が纏ったのはYohji Yamamoto POUR HOMME 2025-26 A/Wコレクション。まだ存在しないものを創造し続ける服と向き合いながら、自らのファッション観、そして“否定せず芯を持つ”という理想の生き方を語った。

Photo
Takahiro Mizushima
Stylist
Masahiro Hiramatsu
Hair&Make
Masa Kameda
Text
Hisako Yamazaki
Edit
Mariko Araki、Kaori Tanno(RIDE)

まだ存在しないものを創造する――
Yohji Yamamoto POUR HOMME 2025-26A/W

まだ存在しないものを創造する一一Yohji Yamamoto POUR HOMME 2025-26 A/Wコレクションは、そんな挑戦の物語に。パファーやキルティングといった実用素材を再解釈し、リバーシブル仕様のアウターが表返るたびに“二面性”が浮かび上がる。パディングによる重厚なシルエットに、テーラードスーツやメタルチェーンのディテールを融合させ、都市生活とアウトドア、日常と非日常、軽やかさと重み一一交錯する要素のひとつ一つが、服に新しい価値観を与える。アウターには、「Sadness and suffering are the flowers of life(悲しみと苦しみは人生に咲く花)」「I’m trying to create something that does not exist in the world.(まだ世の中に存在しないものを創造しようとしている)」といった、まるでデザイナー自身の心の内を語りかけるような詩的な言葉が刻まれ、服が単なるファッション以上の“人生を包むもの”として語りかける、ヨウジヤマモトの哲学が映し出されたコレクションとなった。

笠松将が体感した、
Yohji Yamamotoの新しい冬の美学

笠松将さんが纏ったのは、Yohji Yamamoto POUR HOMME 2025-26 A/Wコレクションから、ライトオンスデニムのジャケットとパンツ。タテヨコ糸ともに綿麻糸を使用し、染色から製織まで一貫生産されたこの素材は、しなやかさと柔らかさを兼ね備え、ワンウォッシュ加工によりさらに柔らかな風合いが際立つ。中綿入りでリバーシブル、表裏どちらを表にしても成立する二面性のデザインは、デザイナー自身が街中のアウターを見つめ、「もっとかっこよくできるはず」という山本耀司氏が求めた美学の結晶なのだ。重厚さと軽やかさが交錯するシルエット、横方向に配した中綿が生むボリュームは、冬の冷気を受け止めつつ、身体を優しく包み込む温もりへと変化する。笠松将さんは「中綿が入ったキルティングのような厚みのある布なのに、着てみるとちゃんとYohji Yamamotoらしいシルエットになる。今までとは違う、ブランドの新しい挑戦を感じました」と語り、着心地の良さと温かさなど実用性とデザイン性の両立に感嘆した。

ジャケット ¥437,800、ブラウス ¥233,200、パンツ ¥271,700、シューズ ¥99,000

「やりすぎも、やらなさすぎも違う」
笠松将が語る服と自己表現

名古屋PARCOのYohji Yamamotoは、国内では東京・青山に次ぐ2店目の直営店となり、1・2F合わせて331平方メートルの広さを誇るコンセプトショップとなっている。店内は白を基調とした無機質なデザインで統一され、明るく開放的な空間が印象的だ。ウィメンズとメンズのフルラインが展開され、ブランドの多彩な世界観を一度に体験できる。

ショップクルーズ中に笠松さんは、シルバーアクセサリーのショーケースの前へ。「GOTHIC YOHJI YAMAMOTO」は、ゴシック建築の重厚さと装飾的な彫刻の世界観からインスピレーションを得たシルバーアクセサリーライン。時代や流行に縛られないデザインで、現代的な遊び心をさりげなく融合させたアクセサリーを提案している。なかでも、笠松さんが着用する「SILVER 950 EAGLE BRACELET」は、鷲をモチーフにしたブレスレット。精緻に彫り込まれた羽根のディテールは、ゴシックの荘厳な美学を感じさせつつ、腕元に力強い個性を与えてくれる。

笠松さんにとってファッションの魅力とは、“気分の切り替え”と“自己表現のバランス”にあるという。「気分をあげることもできるし、逆に落ち着かせることもできる。自分にとってファッションは、そういう気持ちの切り替えになるもの。ビジュアル的に見ると……その人がどうなりたいのかを、そのときの状況や人生のステージ、そして自分のナルシズムや逆にそれを拒否する感覚まで含めて、バランスをとったものが服だと思うんです。いま着ている服を、やりすぎたらカッコ悪いし、やらなさすぎたらちょっとダサい……じゃあ、どうするかっていう、そのバランス感覚がその人を表すのだと思います。服装と行動、すべてを含めて『あー、この人だな』と感じる瞬間があったりする。それが僕にとってのファッションの面白さであり、魅力です」

SILVER 950 EAGLE BRACELET ¥231,000

明確さと曖昧さの間で――
その生き方に宿る美学

「“かっこいい”と思うのは、どんな生き方をしている人ですか?」と訊いてみると、「これ、難しいんですよね……」と彼は少し考え込んだ。「たとえば『好きな色は何ですか?』とか『好きなファッションは?』と訊かれたとき、僕はできるだけ明確に答えたいと思うんです。フワッと答えるのは嫌で。でも、明確に答えるってことは、裏を返せばそれ以外を否定していることになる。そうすると、自分の人生の中で肯定したことよりも否定したことの方が多くなってしまう。それって、なんだか面白くなさそうだなと思って」

だからこそ、彼が惹かれるのは“否定しない人”。「全部をフワッと認めて、そのうえで芯に強いものを持っている人っていますよね。そういう生き方に憧れます。でも同時に、否定しない人って肯定も弱くなりがちで……そのバランスはすごく難しいんですけど。結局、全部をフワッと答えていれば、それはそれで願いは叶ってしまう。でも、そうじゃなくて――自分はやっぱり、フワッとしながらも芯を持つ、そんな人にかっこよさを感じるんです」

ショップ名
Yohji Yamamoto
フロア
midi 1F / 2F
電話番号
052-269-1585
公式ブランドサイト
https://www.yohjiyamamoto.co.jp/
公式SNS
Instagram(@yohjiyamamotoofficial


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笠松将

1992年11月4日生まれ、愛知県出身。2013年より本格的に俳優活動をスタートし、映画やドラマを中心にキャリアを築く。映画『花と雨』(2020)で長編映画初主演を果たし、近作ではドラマ『君と世界が終わる日に(Hulu)』、大河ドラマ『青天を衝け』、配信作品『全裸監督2(Netflix)』、主演映画『リング・ワンダリング』、日米合作『TOKYO VICE(HBO max)』、『ガンニバル(Disney+)』、連続テレビ小説『らんまん』などに出演。強さと脆さを併せ持つ人物像を巧みに体現し、国内外で活躍する俳優として鮮烈な存在感を放っている。10月10日からスタートするドラマ「フェイクマミー」(TBS系)、ブッカー賞受賞作を原作とした海外ドラマ『奥のほそ道 –ある日本軍捕虜の記憶-』(U-NEXT)、10月17日から配信予定されるNetflixオリジナル韓国映画『Good News』にも出演。
Instagram(@show_kasamatsu_official